私生活
元アイドルという偏見により、坂本龍一プロデュースといえど手をのばさなかった中谷美紀だったが、初めて聴いてみたこのアルバムは、昔好きだったVanessa Daouの「Slow to Burn」を思わせる様なやすらきを感じる音作りで、意外にも楽しめた。教授の過去の作品からのサンプルがちりばめられていたり、「Ballet Mecanique」のリメイクありなど、一聴して坂本龍一だと分かる作りになっているのも良い。あるい意味最近の教授のオリジナルアルバムよりも聴きやすいので、こっちの方が好みかも知れません(笑)。
10th/テンス
何というか、とても不思議な音楽です。
サーカスのようなカラフルでポップな感覚と、音符の突然の跳躍といった現代音楽的な冒険心が共存しているので、楽しさと不安とが、同時進行で心の中に入って来るような感覚があります。
大半の楽曲をロボットが歌うのですが、その声についてもあえて表現するならば、泣きながら笑っている、という感じに聞こえるものです。(その点では、「こどもと魔法」のライナーで惹かれると書いていたサーカスのピエロと、合い通じるものがあるのかもしれません。)
全体に渡ってほのかに漂うレトロな雰囲気も、このアルバムの魅力だと思います。
ラストの「余呉湖にて」は、とても美しい曲。
TNT
一曲目「TNT」から何か新しいことが始まるそんな予感に
満ち溢れている、そんなアルバム。
実験的な音楽というとどこか取っ付き難いようなそんなイメージが
拭えないけれど、この作品はどこまでもポップ。
奇跡的な作品だという人も多いですが、確かに色々な偶然が
重ならない限りこういう音楽は生まれないかもしれません。
僕らに出来ることは一曲一曲に耳を傾け音楽の来るべき未来について
ただ再考することだけです。