ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年
自分の子供が他人の子供だと分かっていても、6才まで育てた娘を手放せない気持ちが痛いほどわかり、読んでいて辛い内容でした。また、交換したあとも、育てた子供の新しい環境での適応を心配したり、これも子供を持つ親に取っては苦しい毎日だと思います。子供達にとっても、どこにも持って行きようのない過酷な事実への苛立ちを、思春期と通して経験するのは、本当に大変な精神的ストレスだった事だと思います。
読み終わった後、親として自分は我が子をこれほど大事に、強く、そしてくじけずに育てられるかなと考えさせられた作品です。是非子供を持つ親として読む事をお勧めします。
ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)
血と情のどちらが勝るのか、私自身も一児の母であるので複雑な思いで読みました。
親の気持ちとしては、育ての子は今まで通り、そして血のつながった実子も自分の手で育てたい。
そう思うものだと思います。
このケースの場合、確かに片方が一般的な家庭といえず子供にとっては過酷な環境であったことは事実ですが、双方の両親のやりかたがあまりに酷すぎだと思いました。
本当に大人?親なの?と疑問に持つほど残酷。
子供を交換するなら交換後は没交渉にすべきなのに、子供にずっと未練を持たせたままにすることで結局は新しい環境になじめないまま時が過ぎていきます。
そうしないと子供が夜泣きする、それだけが子供の生きがいになっている。
それを理由に、しかも本当は子供たちではなく自分たちが未練を断ち切れないだけなのに蛇の生殺し状態です。
子供たちが成人してからのインタビューもありますが、その歪な関係を肯定的に捕えた内容です。
でも、それは親がそう思うように仕向けたとしか思えませんでした。子供たちは納得せざるを得なかったんだと思います。
もちろん取り違えは病院側の管理体制の不備が引き起こしたことですが、運命と親に翻弄された子供たちが不憫でなりません。