60セカンズ ディレクターズ・カット版 [DVD]
車泥棒家業をきっぱり辞めて子供相手にカートレース場を経営しているニコラスの様子には思わず笑みがこぼれる。彼の笑顔は子供相手にはぴったりのお顔。
そんな彼にもたらされた弟の危機。24時間で50台の高級車を盗み出さざるを得なくなり、彼の顔が微妙にワルの顔、「60秒でどんな車でも盗みだすという伝説の男」に変わるのが面白い。かつての恋人アンジェリーナが紅一点加わり色を添えている。ロバート・デュバルは作品に重みが加えるためのキャスティングではないでしょうか。
深く考えたらつまらない。思うようにはかどらない様子や、カーチェイスなど、適度にハラハラさせられながら成り行きを楽しむ作品。捻りのない、実にストレートな話で、観終わってチョット爽快な気分になる。
シルクウッド [DVD]
1974年に不可解な死を遂げたカレン・シルクウッドの最後の数年を描いた作品。
核を扱う工場で働くカレン。夫と別れ、1ヶ月に一度しか会えない3人の子どもたちと遠く離れて暮らす彼女の生活は、決して楽ではないけれど、恋人や友人に恵まれ前を向いて生きている。普通に生活するカレンであるが、就業中にプルトニウムに汚染されたことで組合に興味を持つようになり、人生が変わっていく。労働条件改善のため動き出し、工場や同僚に疎まれ始めたカレンの活動は成功するのか…。
労働者を省みない商業主義の精神の犠牲となったカレン・シルクウッド。彼女の活動と、核工場のずさんな実態というものは、後世に知らしめるべき現実である。しかしながら、シェール演じるカレンの友人の描き方に疑問が残る。さも何かに噛んでいるかのような描き方のせいで、どこまで事実なのだと疑ってかからなくてはいけなくなるのだ。もちろん、これはドキュメンタリーではないので、ある程度のドラマ化は見る側が予期しておくべき事なのであるが、事実を、実在する人物を扱う以上、忠実であらねばならぬところは忠実であるべきだろう。
映画を見て、シルクウッド事件に興味を持った方にはR・Rashkeの本(ISBN:080148667X)をお勧めする。
Spirit In The System [日本盤先行発売 / 初回盤限定ナイスプライス仕様 / ボーナストラック・日本語解説付き国内盤] (BRC-265LTD)
ザ・ケミスツの待望のセカンドアルバムです。
最初に感じた印象としては「前作よりロックにシフトしている」ということ。
前作は他の方が書かれたようにクラブでアンセムとなる(絶対アガる)曲がいくつもありましたが、今作はそこまでの「アガる」感じはありませんでした。それは、決して曲のクォリティーが下がったということではありません。前作はロック・レイブ・ドラムンベースなどのカッコイイ部分のみを凝縮した感じだったのですが、今回はロックをベースに他ジャンルのカッコイイ部分を必要最小限に絞り込んだ感じです。ややシンプルになったと表現してもいいような…。
さらにいうなら、前作は「踊る」音楽だったのに対し、今作は「暴れる」音楽に変化したように感じます。もしかしたらライブ映えするのは今作の方かもしれません。
作品のクォリティーとしては決して前作を下回ることはありませんし、文句なくペンデュラム・プロディジーなどが好きな人にはお勧めできます。ただ、好みの問題で評価が分かれるかもしれません。この辺りは他の方のレビューを読んでもらえれば理解できると思います。