華岡青洲の妻 [DVD]
名作の映画化。
高名な医者である華岡青洲が母親と妻の二人の人体実験によって、「麻酔」を使った手術に成功するまでの、嫁と姑の愛憎を描いている。
こういった、心理は女性でなければわかりにくいかもしれない。
息子に対しての母親の愛情と意地、妻としての愛情と意地がすさまじい。女と女の心理的な戦い。台詞にも怖ろしいほど女の嫉妬と憎悪が表れる。
その狭間の葛藤は身震いするほど。演じる人間が美しければ美しいほど、怖さが増す。高峰秀子はさすが。若尾文子の色香がにおうほど、姑が憎む気持ちが高まるのもわかる気がする。女として息子と寝ていると思うと、生理的に許せないのだろう。間に入った雷蔵も、二人に挟まれては、この作品では添え物。
息子は年老いた母に対して、少量の麻酔薬を配慮して飲ませる。そのことが分かった時に、姑は、嫁に「敗北」したことを知る。
嫁は、薬の実験が体に害を及ぼしていくのだが・・・
華岡青洲は麻酔による手術が成功して、さらに高名な医者になっていく。
彼の墓は大きく立派なものだが、彼の妻と母親はその裏にひっそりと建てられた。
近年では、NHKで和久井映見、田中好子、谷原章介版のドラマシリーズが放映されたが、こちらもなかなかのもの。
原節子 十六歳 ~新しき土~ [DVD]
16歳の原節子さんが初々しく美しい。芸者さんのような日本髪に着物で登場する最初のシーンは、鹿、鶴、亀などに話しかけたりして無邪気で可愛い。16歳のときに、既にあのお顔はできていたのですねえというと変ですが、まさに戦後の映画で観てきた原節子さんの少女版(あたり前ですね)というか、初めっからやっぱり美しかったのですね。引退前くらいの作品での美しさと同じものを感じる。夢の中で、おさげ髪にセーラー服、水泳、弓道などのシーンなどがフラッシュバックで出てくるのが嬉しい。映画としては、当時の日本の風土や伝統、文化を表すような風景シーンが多く、今となっては貴重な映像の数々となるのでしょうが、ちょっと退屈。ドラマと火山の噴火を無理やり結びつけたようなストーリー展開も無理があるし、そのドラマ自体がなんか薄味で。日本を紹介するドキュメント映像といった趣もある。「新しき土」とは満州のこと。でもラストに出てくる兵隊のショットは、違和感があるなあ。その前の原節子さんのアップが美しかっただけに、余計に感じる。
金田一耕助の事件匣 市川崑×石坂浩二 劇場版・金田一耕助シリーズ DVD-BOX
特典DVDには、最近の石坂さんと市川監督の対談、加藤さんへのインタビュー、若かりし日の石坂さんへ市川監督がインタビューした映像、横溝正史の生い立ちのダイジェストが収録されています。この特典DVDは、なかなか面白かったです。映画を見た後に、これを見ると、更に理解が深まったりして楽しめるかと思います。映像は、テレビで見ていた時より綺麗な画像になっていて、個人的には、もう少し粗い方が、雰囲気が出たのでは?という気もしました。ですが、ファンの方なら、持っていても損は無いと思います。小冊子も一緒についていて、こちらも面白かったです。
つぐみ [VHS]
牧瀬里穂さん主演、原作はよしもとばななさんの初期のベストセラー「TUGUMI」です。これもDVDになっていません・・・。
海辺の小さな町の古い旅館が舞台です。
開発による旅館の閉鎖間際という最後の夏休みに、従姉妹(中嶋朋子)がつぐみの町に帰ってくるところから物語が始まります。
つぐみの恋人になるのは開発側の社長の息子(真田広之)。
病弱な暴君のつぐみが切れて障子をやぶくところや、お風呂のなかでウクレレで歌「きりんのダンス」?を歌うところが印象的です。
相手役が真田広之というのはちょっと年齢があわないような気もしますが、ほかのキャストはいい感じです。
原作の雰囲気をおおむねおさえている感じです。
初期のころの牧瀬さんかわいくて大好き。前髪ぱっつんとまっすぐにきってあって、大きな目に棒読みのせりふ。乱暴ではっきりとした口調。
アンバランスな魅力です。
「幕末純情伝」も面白いですよ。