Chelsea Girl
ニコの全作品中、収録作の豪華さと耳馴染む大衆性では群を抜くソロデビュー作。しかし、次作The Marble Index以降の作品を聴けばわかる通り、最も一般受けしそうなこの作品がニコ最大の異色作であるのが彼女らしい。関連したミュージシャンの影響からか、The Velvet Underground&Nicoにおけるジェントルサイドの流れを汲みつつフォークとの融合が聴き取れ、そのアレンジの中で浮き気味ながらもニコのセクシーな低い歌声に終始圧倒されるポップ作品である。選曲の中では新進気鋭のシンガーソングライターJ.Browneの存在が個人的には意外であったが、二人は何か結びつくところがあったのだろうかと想いは尽きない。
編曲に口出しできなかった等の理由(フルートの挿入を特に嫌っていた)からか、本作収録曲の多くがその後のライブレパートリーになる事は稀であった。彼女のトレードマークであるハーモニュウムの響きが渦巻く音世界はここには皆無だからである。しかし、それらはニコに魅せられた人以外には正直オススメできない。したがって、ニコを初めて聴いてみたいという方には本作が第一選択かと思う。もし、「ニコという名の歌い手」を気に入ったならば、次作からThe Endのいずれかの試聴も是非オススメしたい。
Velvet Underground & Nico
まず、コレに興味があるならば、購入して間違いないと思う(仮に嫌いだったとしても、それが解る価値がある)。だいたい色々説明してもらって聴くような音楽じゃない。
なので、やばそうなロック名盤?くらいの知識で聴いてみるのも結構だが、それは跳ね返されるかもしれない。事実、私もそうだった(笑)。ソニック・ユースやニルヴァーナが広く知られた現在なら、このザラザラヒリヒリした無愛想な音楽を受け入れる下地は簡単にできるかもしれないが、私の原体験はもっと昔なので、かなりショックだった。何かいけないモノを見てしまったような感じ、小学生なのにいきなり性行為の現場を見てしまったような(失敬)。だが、どうにも気になって聞き返す内にだんだん嵌まり、「Goo」や「Nevermind」が発売された頃にはとっくにバイブルだった。
VUのオリジナル・スタジオ盤は全部で4枚だが、まずは本作から聴けば良いと思う。聴きやすい1曲目やニコの歌う美しい曲が好みなら「III」、"Heroin"や"European Sun"に取り憑かれるなら「White Light White Heat」。ポップ過ぎるとされる「Loaded」も佳曲が多いので見逃せないと思う。
『奈良美智×村上隆』+『アンディ・ウォーホル』 [DVD]
DVDは既に持っていたのですが、奈良×村上コラボレートオリジナルポストカードにひかれ、また買ってしまいました。
奈良の女の子の絵のバックに、村上のお花がある作品と、村上のカイカイキキのキャラに、奈良が描いたギギがある作品です。今ではありえない組み合わせかと。
DVDも、見応えがあって、おすすめです。
White Light White Heat
「あいつは音楽を知り尽くしている。」とルーに言わしめたジョン・ケイルとルーとの極限のテンションでぶつかり合った火花をキャンパスに叩き付けたような作品だ。(今さら言うまでも無いが・・)
1聴して、2.GIFT の朗読とギターリフの絡みのセンスに舌を巻いたりしたが、このアルバムの(と言うよりVelvet自体の)真骨頂は何と言っても 6.SISTER RAY だろう。1聴して感じは、ノイジーで耳障りなインプロヴィゼーションが延々と続いているだけに聞こえるが、それは音的な要素だけであって、この曲の真髄は立体的な完成されたグルーヴ感だと思う。うるさいだけの音が延々と鳴っているだけの曲など私は聴きたくもないし、人を惹きつけるような強い磁力も持ち得ないだろう。
SISTER RAY の本当に恐ろしい所は、過激なギターやシンセパートがそのまま静かなピアノに変換されたとしても、全く問題なく聞き込めるだろうという予感を孕ませているところにある。「音楽」として完璧に完成されているのだ。ジョン・ケイル恐るべしと言ったところか。