つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む (ちくま文庫)
つげ義春さんはこれが初めてですが、作品には既視感を覚えますねぇ。安部公房の「笑う月」と同じように「そうそう、こんな夢みるみる」と素直に感動してしまいました。羊水のようにちょっと生臭い、怖い夢。もっともっと読みたいですが、寡作とのこと。他の作品も是非読んでみたいです。
ねじ式 [DVD]
つげ義春の独特かつ暗いエロさをダークユーモアたっぷりにグロさたっぷりにアートに描いてるまさに芸術作品。
主演の浅野忠信が男のもつ暗く、ねちっこい、かっこ悪さをリアルに演じてそこがまた母性本能をくすぐられる
つげ義春ワールド ゲンセンカン主人 [VHS]
つげワールドをいろいろな監督が映画化していますが、この作品は自然ですね。監督の存在が感じられない程自然です。前世、因果、を感じさせる詫びたエロスが漂っており、なんとなく好きな映画の一つです。群馬県の湯宿温泉の大滝屋がモデルらしいのですが、見事に老人しか泊まっていなかったり、隣の部屋からお経が聞こえたり、混浴温泉で何かの拍子に、中年女性の女性器が丸見えになったりと、若い頃の、つげ本人の強烈な体験が土台になっているそうです。リアリズムの宿もそうでしたが、もの凄い旅館に出会う運命なのでしょう(笑)つげ本人もこの映画に出演しています。この中の物語では、李さん一家、ゲンセンカン主人が、とても好きです。なぜだろう?不思議なせかいで、つげワールドが色濃いからなのでしょうね。池袋百店会は、映画にすると、よくあるメロドラマのようで、イマイチでした。評価は3と4の間です。
無能の人 [DVD]
意味が行方不明というか、実のところ正直言って、こういう人は居るのですよ。
この現代の喧噪の街には不釣り合いな、一歩も二歩も下がって、乗り遅れても乗れなくても、この時代をなんとか歩いて行く男と家族。
この人たちの孤独も苦悩も深くって、たとえば男の内面は鳥男の悲しいエピソードに印象的に描かれている。
これは原作の漫画に実に忠実で、竹中監督も大事に描いている気がする。
結局の所、死では解決できない悲しみなんでしょうね。
私たちだけ取り残されたみたいな家族の孤独とは、逆さにそして、なんとも戦慄すべき温かい空間なのかと。
ねじ式 (小学館文庫)
ねじ式は、面白いと思う人と、よく解らないと思う人との差が顕著な本だろう。例えばメメクラゲに噛まれて主人公は当然静脈が切断されるわけだが、どうして(当然)なんだ!と思わず心の中で叫ぶこの不合理をそのまま受け入れられない人は面白くないのではないか。個人的にはこの、不合理が違和感なく世界に溶け込んでいることが「ねじ式」の面白さだと思う。これがまたつげ氏の絵とばっちりあって、最高に面白い!主人公の巻き毛までどうしてだ!と思ってしまう。目をつぶって後ろ向きに走っていく列車に乗りながら、ゴッゴゴゴとついたとたんに「アッ!ここはもとの村ではないか」このセリフも最高。しかも着いた場所が村の路地で洗濯物が干してあったりする。それも当然の世界なのだ。