芸者論―神々に扮することを忘れた日本人
知人から薦められて読みましたが、その後に田中優子さんの書評を見て続編の「名妓の資格」がある事を知りました。それはまだ読んでいませんが大変楽しみです。はじめに芸者の歴史もさらりとつけて、実際に経験した事が無いけれど聞きかじっていた花柳界の文化論を、研究書ではなく平易に、しかも美文で表現し、目からウロコの一冊でした。
特に、一部の伝統芸能を支えて来たのが芸者衆であった事ははじめて聞く話で、人間国宝にもなった方が大勢いらっしゃるのに感心しました。
日本全国に大勢いる芸者衆の中で人間国宝にまでなった一流芸者が、どんな考えでお座敷を務めたのか、このあたりは「名妓の資格」にあるらしいので、二冊セットでより深くわかる様になっているのですね。
これからもこのジャンルで沢山お書き頂きたいと願います。
ヒタメン 三島由紀夫が女に逢う時…
三島由紀夫の恋人・親友だったというふたりの女性が、三島由紀夫との日々を赤裸々に濃やかに語っている。もういいお年のおばあちゃまだと思うのだが、そのふたりがまるで目の前で自分に語りかけてくれているかのようで、飽きずに一気に読んでしまった。それにしても、会話のひとつひとつをよく鮮明に覚えているものだと思う。当時の銀座、レストランやナイトクラブの記憶も確かで、昭和史の一面を垣間見た感もある。
ちょうどこの恋人と付き合っていた3年間は、三島の全盛期ということで、その作品群といっしょに読めるのもうれしい。
三島由紀夫にあまり興味がなかったが、恋の話と思ってするすると読んでいるうちに、もっとこの巨人について知りたくなった。