発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書)
専門書ではなく、解説書でもない。
今はもうなくなってしまった学校に通っていた生徒たちのインタビューで構成されている。制度と状況の変化の波に飲み込まれて消えてしまった学校の紹介が第一部。
第二部が生徒だった人たちの中から6人、生き生きとした様子がインタビューを通じて描き出されている。
LD(学習障害)、アスペルガー障害、軽度知的発達障害、ディスクレシア(難読症)など。
精神医学的に問題があるかどうかではなく、こういった発達に関わる領域は、一人ひとりが困っているかどうか、その人自身が問題なく生活や人生をやっていけているかどうかが、問題なのだと思う。
障害の種類を知識として身につけることは大事ではあるが、この本では障害の名づけは横に置き、彼らが何を感じ、何を考え、どのように生きているのか、実際の様子が見えてくる。
一生懸命に生きているのに、どうしても不遇をかこつ現実が見えてくる。
発達障害でつまずく人、うまくいく人 (ワニブックスPLUS新書)
著者は大人の発達障害を専門とするクリニックを営む精神科医である。
発達障害の種類や、診断方法、発達障害の人の特徴、仕事上の問題点、
日常生活の困りごとなどが書かれている。
発達障害に関する本というと、
発達障害を蓑にして、努力を放棄してもいいなんて書いてあるのではと懸念していたが、
本書は、保護的立場ではなく、
発達障害の人が、どうしたら社会で少しでも適応できるようになるかを、
うまくつきあっている人の例をあげながら説明している。
自分は発達障害かもしれないと疑っていて辛い人や、
部下や周囲にそれらしき人がいて困っている人も、
この本を読んでみると、理解できて、
生きやすくなるヒントが得られるかもしれない。
発達障害 母たちの奮闘記 (平凡社新書)
著者は発達障害者の教育に18年間関わったフリーのライター、イラストレーター。
彼による発達障害児を抱えた母親たちの聞き書きである。
研究者の話よりも、生活上はこういうナマの体験談が一番役立つかもしれない。
お母さんたちはみな本音で語っているが、私の印象はそれぞれの子供の障害が、
同じ名で呼ばれる(カテゴリー・範疇の)発達障害者の中では、比較的「濃い」「重い」ということである。
取り上げられているのは広汎性発達障害(PDD)、学習障害傾向(LD)軽度知的発達障害
高機能自閉症、学習遅進(スローラーナー)である。