ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸
著名なアメリカの画家(リトアニア生まれ)のベン・シャーンが描いた第五福竜丸の連作ラ
ッキー・ドラゴンシリーズ13点+2点 合計15点の絵画が掲載されています。
それぞれの絵には,20から50文字の詩のようなアーサー ビナードの単文が添えられてい
ます。
絵と文をあわせて,の第五福竜丸事件(第五福竜丸の出航から久保山愛吉の死まで)を伝え
る絵本のような構成になっています。
絵本と言っても,説明的な絵でもなければ,可愛い色調の絵でもありませんので,幼児向
けの絵本ではありません。
流れてくるメッセージは,「第五福竜丸事件を忘れないで」という祈りに似た願いです。
第五福竜丸に降り注ぎ,漁師のみんなの命を奪った放射能は,実戦で使うために誰かが試
しに使ってみた水爆が吐き出した放射能なんだ。でも,核兵器を使って欲しくないと思う
みんなの声があったから,広島・長崎を最後に,核兵器の使用がどこかの町で爆発するこ
とは避けられてきたんだよ。
もし,みんなが核兵器を忘れて無関心になってしまえば,核兵器を使いたいと思って今も
開発を続けている人たちが,きっとどこかで核兵器を使うだろう。
だから,忘れてはいけないんだよ。だれかの町で,核兵器が使われないようするために,
いつまでも忘れないでいようよ。
こういう祈りのようなメッセージが伝わってきます。
核兵実験は今も続けられている,それは遊びじゃない。飾りを作っているのでもない。い
つかどこかで,ちゃんと使えるようにするための実験なんだという現実が,胸にせまって
きました。
一人でも多くの人に読んで欲しい本です。
左ききの拳銃 [VHS]
アーサー・ペンと言ったら、俺たちに明日はない、奇跡の人・・・と、社会派、鬼才、と言われていたものです。
彼のデビュー作が、ポール・ニューマン主演のビリー・ザ・キッド、とは、知りませんでした!
俺たちに明日はない、と同じく、社会の状況と本人のある種の純粋さ、そして、
アメリカ銃社会の事情から、仲間のため自分のため、銃で人を殺しまくり、最後もう
アブナイ人間と思われて、まだ21歳の若さで撃たれてしまった、という状況がわかります。
アメリカは、銃社会じゃなければ、もう少し違っていたのかなー、と思いますが、アメリカの歴史をひも解くと銃は切っても切れない関係と感じます。
毎年銃による大量殺人事件が起こっていて、どうしていくか、アメリカのこれからの方向が問われるところでしょう。
この映画は1958年に作られたので、今のように無関係の人をストレス解消のために殺すような事件はまだ少ないでしょうから、
ビリーという人物と運命に焦点があてられています。
それを、若き日のポール・ニューマンが、若き日の松田優作みたいな間合い、で、思い入れたっぷりに演じています。
アーサー・ペンは、のちにマーロン・ブランドの逃亡地帯、を撮ります!
つくづくアメリカ社会を描いていた人だなー、と感じます。
俺たちに明日はない [Blu-ray]
作品自体は今さら何も言いません! アメリカン・ニューシネマの傑作なのは
誰もが認めるところですね。
ギリギリ、フィルムで観た世代なのですが、
今はなき、東京駅近くの八重洲スター座で観た記憶が甦ってきました。
さてこのブルーレイですが、シーンによってはむらもありますが、
全体的には高画質に画像が甦っています。
特にフェイ・ダナウェイの口紅のぬり方、ブロンドの髪の毛1本1本が風になびく
ところなど、はっきりと見て取れるのにはビックリしました!
特典映像も、以前DVD2枚組でリリースされていたときのメイキング、
未公開シーンなどすべてブルーレイにも収録されています。
さらに日曜洋画劇場で放送された、野沢那智さんと平井道子さんの名吹替も
DVDに引き続いて収録されているのもうれしいところです。
ただ残念なのは、本編自体モノラルなのはしょうがないのですが、5.1ch化されて
いないのが個人的には残念に思いました。
衝撃的なラストの「デス・バレエ」シーンが立体的な5.1chだったら
迫力が違ったと思うのですが…。
ちなみに特典映像はステレオでした^^;
ジャケットもお馴染みではありますが、ポートレート風なモノクロカットで
COOLですし、この作品がお好きな方はぜひ買い換えても損はないと思います。
冬の嵐【字幕版】 [VHS]
アーサー・ペン監督の正統派スリラー。メアリー・スティーンバーゲンがある意味でずっぱり。ヒロインの肉体にダメージを与える設定があるのですが、ちょっと異常な感じ。ああゆう設定って今まで見たことがないので・・・・邦題もなかなかいい感じの結構怖い映画でした。