いかにして問題をとくか
数学が苦手な人間は、例えば「チャート式」の問題解答を読んでも、「なんでこういう式変形や手順を思いつくんだろう?」と腑に落ちないことがしばしばあるものです。しかし、この本を読んで「発想の手口」の代表例(数学の得意な人ならほとんど常識レベルのことでしょうが)を学んでから参考書の解答例を読むと、解答執筆者の思考過程が見透かせるようになります。高校生が読んでおくべき本の一つでしょう。
オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ
数学の公式の中でも一際神秘的なオイラーの公式exp(iπ)=−1を理解することを目標に、必要とされる数学的な知識を丁寧に説明してくれています。そのために、この本では公式を導くのに必要な知識として、解析・数論・代数が満遍なく扱われています。
説明が丁寧で、高校生からでも取り組める本だと思いますので、数学に対して意欲のある高校生は是非読んで欲しいですね。
また読んでいて意外だったのは数値計算が多いこと。高校以来数学は概念的なことを学ぶようになっていますが、この本ではそれに留まらずニュートン・ラフソン法など高次方程式の数値解を求める方法にまで触れてあり、工学の現場を意識した構成にもなっている。結果、具体性が伴って式の意味が判りやすくなっていると思います。(他にも計算機での計算の仕方などが説明されています)
筆者の説明が丁寧と言うこともありますが、ひとつの公式をテーマに講義することで、数学について取り組みやすくなるのは意外な感じがしました。
しかし、全ての分野について深く語っている訳ではないので、解析学、数論、代数学についてもっと学びたい人は、それぞれの専門書にあたるのがいいと思います。大学での数学について、基本的なことを理解するのには、本書が入門書として優れていると思いますので、それぞれの専門書にあたる前に読むのが良いかもしれません。
非常に意欲的な本だと思います。
いかにして問題をとくか・実践活用編
昨年テレビでポリア著「いか問」を知って読んだが、あまりというかほとんど分からなかった。
この本は本当に分かり易いか心配だったが、本当に分かり易かった。
ポリアの本と本書と比べて、1章〜13章の発見的教授法は題材が面白く非常に楽しかった。
それ以上にどうしても評価したいことがあったので、ここに書く。
ポリアの数学の問題は数学の一つの問題に対する解き方である。
しかし現実の問題は、あれやこれやのごちゃごちゃした問題が山積しているではないか。
なにを言いたいかと言えば、それらのごちゃごちゃした問題に優先順位を付けなくてはならないんだ。
それを7ページの図ではっきり示していて、これは本当に現実の問題をどう解くか、
ということを真剣に考えている素晴らしい本だと思った。
だから、ここにレビューを書く。
しかし紙やカバーは豪華だけど、カンジュース代ぐらい安かったら最高だ。