ジャリ向けのアニメなので、基本的に子供には見せられない要素は含まれないはずであり、緊張感無く見ていると何も特筆すべきものがないように思えます。しかし、そこにディープな作り手の思いが潜ませてあって、そこを見ているのが楽しいと言えるわけです。そのような意味で、斜めから真剣に見ると実に興味深い作品です。 たとえば、以下のような要素があります。・男色趣味 (少年愛趣味)・女性化アイテム・オカマ (レギュラーのサブキャラの1人はオカマキャラ)・半分むき出しのお尻アップ (男の子の)・ヒロインであることを必死に強調しなければ取り残される女の子ヒロイン 主人公は、男色趣味、少年愛的な意味でのヒロインに近く、お尻が半分剥き出しで色気があります。OPのラストカットの寝そべった主人公はヒロイン的なポーズといえます。 個人的に特に印象深いエピソードは2つあります。 1つは第10話「お竜に挑戦状・おしゃれ泥棒 イキ対決!」です。江戸の粋を賭けてオシャレ泥棒と、大人の美女の刑事っ引き、粋な「お竜さん」が対決します。しかし、派手なファッションとパフォーマンスで東京タワーを模したタワーの上で衆目を集めて喜ぶオシャレ泥棒に対して、タワーに上がったことも無いと言い切るお竜さんコントラストが見事。江戸っ子達も子供の頃に来たきりと言い切ります。そういう場所に行きたがるのは実は田舎者ということですね。最終的な2人の対決は誰も見ていない地下室で行われ、お竜さんが本当の都会的な粋を見せて勝ちます。どういう粋なのかは見てのお楽しみ。 もう1つは、第18話「暴走・ウルトラ新幹線 爆発5秒前!」。止まれない新幹線に爆弾が仕掛けられているというネタ。しかし、これがなかなかディープ。那覇が終点の「ウルトラひかり」とは、デザインは違うものの庵野秀明監督の「トップをねらえ」の第5話に出てくる列車へのオマージュそのもの。とはいえ、マニアが大好きな「トップをねらえ」に関連するネタがここにあると知っている人をあまり見ません。どうもジャリ向けは関係ないと頭から決めつけている人が多いようですね。問題はなぜ、そのようなネタが仕込まれたのか。おs0おらく、もりたけし監督自身がトップをねらえに傾倒しているからでしょう。監督はトップをねらえの後継作品である「ふしぎの海のナディア」にも参加しているほどです。 最後の問題は、なぜこれほどの作品に知名度が無いのか。その理由は、おそらく「ふしぎの海のナディア」の裏番組だったからでしょう。マニアはみな常識的にナディアを見ていて、ジャリ向けのアニメは無意識的に頭の中から排除していたのでしょう。しかし、第1話のアバンの冒頭で西暦2199年と言っているように、意外と大人向けのネタが散りばめられたアニメでもあります。あくまで、裏口から入って裏を見る。これがポイント。 江戸っ子ボーイ・がってん太助 DVD-BOX 関連情報
舟木一夫/一心太助 江戸っ子祭り
「一心太助 江戸っ子祭り」舟木一夫・昭和42年1月.
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