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木村宗慎 利休入門 (とんぼの本)

 本書の著者は少年時から裏千家茶道を学ばれてのち神戸大学法学部を出られ、稽古場主宰の傍ら東京や京都で雑誌の取材や展覧会の企画で活躍されている方ということで、現代日本茶道の現場をよく知っておられるのでしょうけれども、その割には茶道に対する情熱というか愛情というか誇りというか、そういうものが伝わってきませんでした。 本書の著者は、漫画『へうげもの』の作家さんにも影響を与えている方ということですし、漫画『わたしは利休』にも関わっておられます(作者ブログでも紹介があります)。色々なメディアを通して積極的に茶道の普及に取り組んでおられる方なのかなと思うのですが、不思議と印象が良くない文章でした。ネットでブログなど拝見してもソフトな方のようなのに・・。 入門書と看板を出すからには、利休に関するある程度の基本情報を盛り込みながら賞賛と批判の双方をバランス良く取り入れた公平な記述をすべきではないかと思いますが、本書は読み手のことを気遣うより余りにも著者の主張が全面に出ているというか、「利休否定」の色が強く、この本を一読して「茶道いいな」と思う人は果たしているのだろうかと疑問を感じてしまいました。それが茶道を思うゆえのことではあっても、基礎のない初心者には相応しくない内容のように思います。それこそ『千利休の功罪』というタイトルにすべきのような・・。 巻末に参考文献は載っていますが、著者の意見を裏付けする出典の明記が本文中にほとんど見られず、政治家や商人・武人としての側面ばかり強調して、芸術家としての利休や織部をやたら軽視しているように思われる記述が多く、読後感がよくなかったです。「弟子の生き方」という章がある割には利休と織部との温かい師弟関係については記述がないですし、ほんとうに「利休なんて、商才のある世渡りの上手い茶坊主なんだけど、死後山上宗二とかの弟子が神格化したためにたくさんの崇拝者を産んで、その利休至上主義が茶道に落とした影は小さいものではない」ということを言いたいがための本という気がします。そんなもん、バッハだって荘厳かつ信心深いうつくしい楽曲を山ほど作っているけど、一方で領主にお金貰って作曲してるしコビコビのお追従献辞書いてたわい!ミケランジェロだってダヴィンチだってパトロンは教皇やら国王だわい!ルーベンスなんて外交官だったさ!かれらだとて注文主の指図に口では「はい」と答えながら心の中で舌出してたでしょうよ!とちょっと腹さえ立ちます。バーネットの『小公子』を、作品の持つ生命感を無視して社会に与えた影だけを取り上げて「うそっぽい理想の子ども像」と断じる類の人間と同じ匂いがします。  著者の理屈では、プラトンが描いたソクラテス、エッカーマンが伝えたゲーテの姿も否定しなければならないのではないでしょうか。弟子の心に映った師の姿も、またひとつの真実ではないのでしょうか。そもそも宗二のように、正直過ぎて自らの死期を早めたような男を捕まえて、一概に「師匠を神格化した」と決めつけるのもどうなんだろうと思います。宗二は純粋に、師・利休の茶道に心から感動していたのではないでしょうか。  素人の印象ではありますが、正直この著者は元々、美的な感性というか、芸術を愛するまたうつくしいもの、詩的なものに感動するという性向があまりない人物なのではないかと思います。文章を読んでいても、何か神秘でうつくしいものに心を打たれてその思いが筆から<迸っている>というような感じがないのです。そもそも長次郎の茶碗や織部焼に全く感動していないのかもしれません(本書冒頭で自身そう書いておられますが)。あの茶碗に映るつつましさ、あのつつましさを美しいと感じて至上の価値にしようとした人間が、ただの世渡り上手の茶坊主であるとはわたしは思いません 。この道のプロの方ですから利休をよく知るゆえにこう言われるのでしょうが、初心者が妙な先入観を持ってしまうと思います。「まず、自分の眼で本物を見よう」「一度お茶をやってみよう」とかいう言葉もないので・・。  著者は、本書を通じて現代の茶道界に苦言を呈しているのかもしれませんし、茶道の経験のある方は頷かれる主張なのかもしれませんが、それはほんとうに利休が悪いのでしょうか。 本書読者は、美術畑の人間が書いた本、有名なところで岡倉天心の『茶の本』とか柳宗悦の『茶と美』、または岩波ビギナーズクラシックスの『茶の湯名言集』なども読まれたほうがバランスがとれていいと思います。 写真やレイアウトはきれいでした。  利休入門 (とんぼの本) 関連情報

木村宗慎 一日一菓

知っているお菓子も、そうで無い物も沢山掲載されていて観ているだけでも楽しい! 一日一菓 関連情報

木村宗慎 所作美人

茶道を学ぶ人だけでなく、日常生活で役立つ身のこなしをわかりやすく紹介してくださっています。商品は説明どおり大変きれいな状態でした。発送も早く助かりました。また利用させていただきたいと思います。 所作美人 関連情報




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