クロスカップリング反応―基礎と産業応用
CMCは章ごとの密度が一般に薄い。今回もカップリング、ノーベル賞ということで、過去のCMCの原稿をかき集めた感がある。やっぱり、CMCだなと思わせる内容で、カップリングを真剣に知りたい人にはお勧めできない。ただし、値段はCMCにしては破格の値段なので、ノーベル賞をもらった気分になるには、持っていてもよいかもしれない。どうせ、真剣に勉強するなら、根岸先生編纂の2冊本のPdの本(Wiley)か、辻先生の著書、Heck先生の少し古い著書、宮坂先生編纂の219巻など、C-Cボンド形成反応の本で名著はいくつかあり、それを買うべきだ。出会った本で、化学の好き嫌いが決まることもあるので、お金を惜しまず、名著を買うべきだと、私は思う。本屋で立ち読みして、本書はがっかりした。(値段以外は)
これから、もう少しまっとうな、著書が編纂されるのを待つ手もある。
マンガでわかる有機化学 結合と反応のふしぎから環境にやさしい化合物まで (サイエンス・アイ新書)
見開き2ページで1トピック、右ページがマンガで左ページが解説という体裁です。高校生のときに有機化学を習った・・・というレベルでも充分に対応できるレベルです。原子構造からスタートし、共有結合や電気陰性度、構造式の書き方といった基礎的な内容についてもわかりやすく解説されています。
有機化学は暗記不要!と銘打っていますが、有機化学の宿命なのか有機化学用語がどんどん出てきますので、これを消化するので手一杯・・・。革命的にわかりやすい・どんどん引き込まれる・・・というほどではない。
カラフルで図も豊富、かつ、わかりやすい点はいいところですがマンガのクオリティが低い。マンガは、「姫」「先生」「執事」の3人がでてきますが、ほとんど先生がしゃべっているため、絵はマンガだけど、ストーリーになっていないです。
とはいうものの、置換基やさまざまな反応、高分子化合物、さらには、生命科学まで踏み込んでおり、有機化学について知識のすくない人が有機化学を俯瞰するためにはいい本だと思います。マンガの出来はともかく。