Total: from Joy Division to New Order
他の方も書いているが、何故、この程度?
と思わざるを得ないくらい中途半端な選曲。
どうでもいいような再結成ネタに合わせてのリリースか?と疑う。
再結成しようがしまいが、本当にどうでもいい。
今現在、既に「終わってる」バンドなのだから。
リマスタリングの出来はともかく、全てのトラックが先の「コレクターズ・エディション」
に比べても更にクリアになっているので、確かに新鮮な驚きがある。
マーティン・ハネット氏もグレイブヤードの下から驚いていることだろう。
さてイアン・カーティス氏はどう思うだろうか?
ピーター・サヴィル氏は?
もしかすると、マニアには、受けないのかもしれない。
つまり「JDはこんなクリアじゃなくていい。もっとモヤモヤした感じ」とか。
大体、代表的なトラックのタイトルも「アトモスフィア」だし。
NOについてはクリアな質感は最初からあったからいいと思うが。
個人的にはクリアになればなるだけ、いいと思うので大歓迎だが、であれば
いっそのことJDとNOのそれぞれ「サブスタンス」をリマスタリングして
「コレクターズ・エディション」とすればいいのに。
それぐらい驚くほどクリアなリマスタリングなのだ。
特にリズム・セクションの鮮烈な響きは、衝撃。
変にマニアックなコンピレーションをリリースするより、普通に、オリジル・アルバム
を最新のリマスタリングを施してシリーズをコンプリートしてくれればいい。
つまりこのアルバムは「変にマニアックなコンピレーション」ということだ。
この曲を選んで、あれは選ばないのか?とか。
ピーター・フック氏の「アンノウン・プレジャーズ・ライヴ」とかを聞くと
やっぱり、昔のJDとかNOが好きな訳で、それはファンも同じなのだ。
そして、改めてJDにしてもNOにしても、メロディ・メイカーとして素晴らしい才能が
あった、という事を確認する。
あの時代は輝いていた。その天賦の才能を持って。
早く引退すればいいのに。
こういうベスト盤を何度でもリリースして、昔の宝物で飯を喰ってきゃいいのに。
もう表面に出てこなくていい。
これだけのリマスターが出来るのであれば、同じファクトリーの弟分ACRの
「The Old&New」までのオリジナルを再度リマスターしてもらいたいもんだ。
何せ、Soul&Jazzからのリリース盤は、正直大したリマスタリングしてない。
あれではACRファンは納得しない。
Joy Division
届いてまず重厚なそのハードカバーの仕様に圧倒され、
中を開いてイアンの手書きのメモや古くなったギターのただずまいにただただ感動、
そしてなによりも凄まじいステージやリハーサルスタジオでのショットなど
有名な写真もあるけど、
半分近くが初めて見る写真で戦慄がはしりました。
カメラマンとバーニーの対談などテキストもとても充実していて、
英文ですがバンドに対する予備知識があれば十分読めます。
バンド、そしてなによりイアンに対する溢れんばかりの愛が詰まった本です。
悪い事は言いません、
ジョイ・ディヴィジョンに少しでも興味がある人は
手に入りやすい今のうちに必ず買いましょう!
JOY DIVISION (デラックス・エディション) [DVD]
ジョイ=ディヴィジョンの元メンバーである三人のインタビューには、それぞれの際立った個性が濃厚に表れている。
屈折した性格のバーナード=サムナー、豪快なピーター=フック、温和なスティーヴン=モリス。「つきあいは殺人の刑期よりも長い」というサムナーとフックの、長年にわたる確執も所々に窺える。
「今でも、死んだイアンと、それを止められなかった自分自身に対して腹が立つ」とスティーヴン=モリスが語る、怒りと悲しみの感情が、後の二人からも共通して感じられる。三人三様の言葉と表情から滲み出るイアン=カーティスへの思いと、単純な言葉では表現しきれない三人の深い関係が、ストレートに胸を打つ。
未公開のものも含めた豊富な資料映像は、ファンにとって興味深いものであることは間違いない。しかし、それだけではなく、「ジョイ=ディヴィジョンという完璧な素材をできるだけありのまま提示したかった」と監督が語るこの映画は、観る者に生きることへの問いかけを生じさせる。
ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984
1978-1984の7年間、英米ロック界(一部ドイツ、オーストラリアを含む)を統括した評論・インタビュー集では過去読んだどの本よりも充実していました。
表紙のジョン・ライドン率いるPILや、録音方法にまで詳細に触れたジョイ・ディヴィジョン(映画「コントロール」でも再現されていました)、日本では取り上げられる事が少ないペル・ウブ、ここでも時代の仕掛け人たろうと足掻く業界ゴロの様なマルコム・マクラーレンや目利きらしくシーンの良い所取りをしていく才人ブライアン・イーノを始め、メジャーなU2、ニューロマンティクスから怖いノイズ・インダストリアルの分野までこの時代に結成され、活躍したバンドの多くが網羅されており、同時に単なる総覧では無く、筆者レイノルズの考えと好みも明示されています。
インディーズロックの一分野だけを取り上げたのではなく、長くて数年、短い場合は数ヶ月で移ろい行く同時代性だけでこれだけ雑多で豊穣な内容を突っ込んで取り上げた本はおそらく無いと思います。商業的成功に後一歩及ばなかった愛すべきアーティスト、意外に狭い英国業界の交友関係の記述も実に興味深かったです。
この時代にデビューしていても、スミスやREM等85年以降に全盛期を迎えるバンドはほんの触りだけ、リコメン系の重要バンド(アート・ベアーズ等)の記述が全く無いのは残念です。
筆者が重要視するアーティストはディスコグラフィーも含め一章のかなり部分を割いていますが、他のアーティストも一行でも記述が有るページは全て牽引出来る為、資料本としても最適です。
やや高額ですが金額以上の価値は充分に有ります。もしこのレベルの本が7年毎に出れば素晴らしいロック界の年代記になり、続けて購入する価値は充分に有ると思いました。記載されているアーティストとロック・ジャーナリズムに興味が有る方には文句無くお薦めです。
コントロール コレクターズBOX (初回限定生産) [DVD]
JOY DIVISIONというあまりにも短い青春を描いた伝記映画。
U2の写真家として有名なアントン・コービン初監督作品。
前編モノクロ映像で淡々と進む映画で、映画初主演であるサム・ライリーが、イアン・カーティスの自己破壊的な孤独を見事に演じきっている。
そのイアンの妻であったデボラ・カーティスの著作『タッチング・フロム・ア・ディスタンス』を元に制作されているため、デボラの目線で描かれるシーンも多々あり、ロック・スターとしてよりも、人間としてのイアンを見せている。
けっきょくイアンは自分以外のすべてを愛せなかったのだと思う。
そして、自分さえも愛せなくなり、すべてに押し潰されて台所でひとり果てる最期のシーンは、わかっていながらも目を覆いたくなるほど痛々しい。
彼のすべてを肯定することはできないが、彼が遺したすばらしい音楽に敬意を。