賭博黙示録カイジ(1) (ヤングマガジンコミックス)
今まで質の高いギャンブル漫画を多く描いてきた著者だが、麻雀を取り扱ったものが多く今ひとつマイナーな印象を捨て切れなかったように思う。しかしこの「カイジ」は違う。のっけからテーマが「ジャンケン」である。誰もが経験してきた普遍的なテーマに、福本氏の持ち味である先の先を見越した、読者の一歩も二歩も先を行く設定が合わさり、とんでもなく奥の深い「ジャンケン」が生まれている。こんなものをテーマにしてよくここまでのストーリーを描けるなと思う。1000万を賭けたジャンケン勝負は福本氏お得意の人間の欲望、騙し合いをあらわにする事により独特の空気感を持って進んでいく。伏線の張り方も見事で、この「限定ジャンケン」編だけは悔しいがケチのつけようがない。そりゃあ人気も出るさ。