ハネケンランド~羽田健太郎 その映像音楽の世界~
伊福部氏の登場以降、クラシック出身の作曲家が大衆音楽の世界にも広く頻出するようになった。羽田健太郎さんもそんな幅広いジャンルで功績を残した一人。渡る世間〜のテーマ曲が一般的には有名だが、映画音楽の世界での実績も素晴らしい。フォーマットと形式重視のクラシック界で彼のような人は、恐らく疎まれることもあったに違いない。技術に対して神経質なまでに拘ることをせず、高いクラシックの素養を活かしながらも親しみやすい音楽を作り続けてきた羽田氏。坂本龍一氏は以前にエモーショナルな表現はクラシックの世界では評価されないと言っていたが、羽田氏にはクラシック界という狭い世界での名誉ではなく、大衆の為の音楽を創るという大きな作曲家人生の柱があったはずだ。滝廉太郎もそうだが、西洋音楽にインスパイアされたテクニカルな部分はそのままに、実に情緒的な日本的メロディを作れる人というのは偉大だ。若くして亡くなられたことは非常に残念。
新・ムラ論TOKYO (集英社新書)
仕事でときどき東京へ行く関西人です。東京では主に新宿界隈しか歩かないが、本書を読んで次回は高円寺や下北沢などにも足を延ばそうと思った。自分も青春時代はよく大阪や神戸の古本屋や中古レコード店巡りをしたものだった。そして古本やレコード、CDなどを買った後は店の近辺の鄙びた喫茶店などで商品を眺めながらコーヒーを啜ったものである。そういった店などは今や駐車場付きの大型店舗の進出などで姿を消しつつある。今やその光景は古きよき時代のものになってしまったのか。大阪や神戸はもう大体歩いたので、それでいいかと思っていたが、本書を読んで、今度は明石や姫路のほうもぶらりといってみようかという気になった。そして次回の東京出張の時には、是非高円寺や下北沢あたりをぶらつきたいものである。
コブラ ソング・コレクション
コブラは映画での映像化が初で"松崎しげる"さんがコブラの声を演じ、CDの1曲目「Daydream Romance」も歌ってますがコブラの歌として私が強く記憶するのはTVシリーズの"スペースコブラ"のOP曲です。CDでは3曲目の「コブラ」で作曲・編曲は"ルパン3世"テーマ曲でもお馴染みの"大野雄二"さん。スピード感がありながらドラマチックな楽曲が素敵で特に私が好きな曲です。続くED曲の「シークレット・デザイアー」もおしゃれな雰囲気の曲でした。
CDの5曲目以降の挿入歌はあまり良く覚えてませんがTV版の音楽を担当していた(今は鬼籍に入られた)"羽田健太郎"さんによる作曲・編曲ですね。
CDの8曲目から近年のOVAや新TVシリーズの曲で作曲等は旧作品のコブラの担当の方とは変わりました。そんな中でも変わらないのが"松崎しげる"さんの歌。新しいコブラの映像化で新しい歌を昔から関わっている人が歌う事は歴史の長いアニメ作品としても珍しいケースと思います。
新TVシリーズのED曲「君の歌」もゆったりとした歌声が聴けてTV本編の後に流れる曲としてもなかなか良い感じの曲。前後しますが新TVシリーズOP曲「COBRA THE SPACE PIRATE」もジャズ系の曲に英語歌詞がGood。
比較的に新しいコブラの歌としては新TVシリーズのOP&ED曲でもある、CDのラスト2曲が私はお勧めです。
「オトコらしくない」からうまくいく
佐藤悦子さんの本は、
前作がとても参考になったため目が止まりました。
「対談かあ・・・」
正直、内容が薄いのでは、と勘ぐっていたのですが
見事に裏切ってくれました。
インタビュアーの清野さんによる話の引き出し方が非常にうまく、
みんなが気になっている部分を上手に聞き出しつつ
発展させてくださっています。
結果、インタビューという形式のもつ効果を最大限に生かした、
内容の濃いものとなっています。
私にとって貴重だったのは
佐藤悦子さんが「女性」だからこそ乗り越えてきた
ビジネスでの苦難への対処、働く姿勢や考え方を聞けたこと、
そしてデザイン業界ならではの料金や権利関係の難しさに対する
対応がとても参考になりました。
私自身も広告制作の仕事をしており、
「おかしいよね」と思いながらも業界というか社会の慣例に
しぶしぶ従わざるを得ない状況があります。
それに対してケンカごしではなく
しなやかにフラットに対応してこられた手腕と努力には
拍手を贈りたいです。
悦子さんのような圧倒的な頭の回転の早さや
精神力、交渉力、忍耐力を持ち合わせていない凡人の私には
とても同じようには出来ませんが、
自分なりの切り抜け方を見つける指針になると思います。
働く女性、特に、女性デザイナーは読んで損はないと思います。
男性にも、女性の視点から見た仕事の仕方や考え方、
切り抜け方はとっても参考になるのではないかと思います。
スペースコブラ・コンプリート・サウンドトラック
ANIMEX1200のセールスが好調だったためか待望の完全版音楽集が
リリースされました。ANIMEX1200に収録されている曲はもちろん全曲
完全に収録されていますし、それに加えて未収録だったBGMや挿入歌も
あわせて2倍以上のボリュームになっています。
さらに収録順など構成も上手く、非常に完成度の高いサントラに
仕上がっています。
せっかくコブラの音楽を楽しむのであれば
廉価版よりこっちを買ったほうがずっといいですよ。