薔薇のない花屋 ディレクターズ・カット版 DVD-BOX
素晴らしい作品だと思う。
特に野島伸司の脚本の凄さを思い知らされた。
ポイントは、2つの謎解き(そのうち1つは一回目で解けてしまうが)であるが、2つ目の、そして最大の謎解きもあざとさを感じさせず、素直に感動してしまった。
登場人物のキャラクターとぴったり合った展開なので、ストーリーに強引さ、違和感は全く感じなかった。
最終回は、後半どこの場面で終わってもすばらしいラストに思え、実際、ここで終わってほしいという場面がなんどもあった。
しかし、その後に続くシーンが全く蛇足にはならず、本当に凄い脚本だと思った。
周囲の人を幸せにしたい、他人を恨まない、妬まないという気持ちが如何に素敵なものかということを思い知らされました。
また、あらためて言うまでもありませんが、題名、登場人物の名前に関するネーミングも抜群でした。
また、脚本以外でもこのドラマは素晴らしいところがたくさんあります。
竹内結子を始めとしたキャスティングもそうですが、画面の作りもとてもきれいです。見とれてしまう、美しい映像がとても多かったです。
生きるのが嫌になった人にぜひ見てほしい作品です。
第8作 男はつらいよ 寅次郎恋歌 HDリマスター版 [DVD]
シリーズが安定化し、作り手側も演技陣ももっとも脂の乗り切った頃の名作だと思います。 さくらの夫、博の母親に対する思いなどが描かれ、世界観の深みも増しています。 黒澤映画の顔ともいうべき志村喬さんが再登場して、有名な竜胆の花の話を披露してくれます。 寅さんは早速それを実家のとらやで受け売りしてみせますがまったく通用せず、なんともおかしい名シーンが出来上がっています。 ところがラストで同じ話をマドンナ・池内淳子さんにして見せる場面では、それが見事な詩情をともなった名シーンとなって我々を驚かせてくれます。 山田監督の非凡な脚本と渥美清さんの名演が冴え渡ったすばらしい場面だと思います。 構成がシンプルながらも非凡です。
惜しむらくはこの作品、寅さんの失恋模様の描写が少し弱いような気がします。 一応、池内淳子さんと話をしているうちに、この人は一人で十分やっていける女性だ、と納得して去っていく寅さんの心境は分かるのですが、決してふられたわけではなく、何となく弱気になって自分から土俵をわってしまったー、という感じが強く、この辺、まだまだ枯れるのは早いよ寅さん、と言いたくなってしまいます。 もっともこの物足りなさは次回作、“柴又慕情”で見事に挽回されるのでご心配なく。 また、残念ながら本編が最終作となってしまったおいちゃん役の森川信さんですが、渥美さんと最高の掛け合いを見せて優秀の美を飾ってくれました。 俳優さんたちの見事なアンサンブルを楽しめるシリーズ中屈指の秀作だと思います。